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【獣医師取材】確実な麻酔外科で多くの命を救いたい|柳和良先生

飼い主さんにはできるだけ多くの選択肢を

柳 和良 マルクペットクリニック 院長

<経歴>
  2002年 日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業
  2002年~2017年 都内・神奈川県内の動物病院にて勤務
  2017年 マルクペットクリニック 開院
  2020年 The RECOVER Initiative hereby certifies 取得
             

川崎市宮前区で「マルクペットクリニック」の院長を勤める柳和良獣医師。麻酔管理に自信を持ちながらも、臨床病理や皮膚科、行動治療などさまざまな分野に関して熱心に勉強している柳先生に、獣医療について大切にしていることなどをお聞きしました。

人以外の全ての動物が診られる獣医師に魅力を感じた

ーーー 柳先生が獣医師を志したきっかけを教えてください。

もともと祖母の心臓が悪くて、医学部を目指していたんです。
しかし途中から、人しか診ることが出来ない医師よりも、人以外全ての動物を診ることができる獣医師に魅力を感じて、獣医師の道を考えるようになりました。

イルカやペンギンなどの海洋生物も好きだったのですが、水族館の獣医師はとても狭き門なので犬や猫などの愛玩動物の道に進むことに決めました。

ーーー 大学ではどのような生活を送っていたのですか?

祖母の病気の関係で心臓外科に興味を持っていたので、外科の研究室に所属していました。
大学の事情により、私の所属していた心臓外科チームの活動は結局実現しなかったのですが、個人の研究では心臓病をテーマとしていました。

研究室では朝から晩まで手術のサポートをしていて、昼ごはんが夜の8時になることもありましたね(笑)
大学の授業や自分の研究も並行してこなしていたので、かなりハードな生活を送っていましたが、そのおかげで手術の優先度の決め方や隙間時間で早く体力を回復するための休憩の仕方など、多くのことが身につきました。

あの時の経験は今でも役に立っているなと実感しています。

麻酔外科も含めて幅広い治療を提供したい

ーーー 獣医師免許を取得してからは、どのようにスキルアップされたのですか?

免許を取得してから開業に至るまでに、都内や神奈川県にある7,8ヶ所の動物病院にお世話になりました。

日本大学の外科出身で手術の腕が確かな先生や、臨床病理に強い先生、行動治療に詳しい先生がいる病院などに勤務し、合間を縫ってセミナーや勉強会などに参加して、ありとあらゆる分野の勉強をさせていただきました。
複数の病院を掛け持ちしたり、夜間救急の病院に手伝いに行ったこともあります。

もともと開業することは決めていたのもあって、あまり詳しくない分野であればなおさら積極的に学んでいました。

ーーー 麻酔外科に強くなったきっかけを教えてください。

外科の研究室に所属していたことも一つありますが、横浜にある病院に勤めていた時に、いろいろな手術を経験させていただいたことが大きいです。

麻酔外科に関して自分で本を読んで調べたり、知り合いの先生に手術中の動画を送ってもらって勉強することもありました。
実際に多くの手術をこなすことで、徐々に経験値がたまっていきましたね。

もちろん手術は多かれ少なかれリスクを伴いますので、成功させる自信がある手術しかやらないようにしています。
未経験の手術や成功率が低い手術の場合は、「ここでは難しいので二次病院に行ってください」としっかりお伝えし、二次病院を紹介しております。

ーーー 麻酔外科に関して「他院とはここが違う」といったポイントはありますか?

手術後の麻酔からの目覚めがとても穏やかなところかなと思います。
麻酔から覚める時にワンワン吠えてしまうケースが多い病院もありますが、うちではほとんどの場合で大人しく麻酔から覚めてくれますし、手術当日の夜からすでに食欲が出てくる子がほとんどです。そのような子には、手術当日の夜はごはんの量を少なめで与えるように指示しています。

麻酔管理には自信があって、高齢動物で比較的長い手術であったとしても、術後2時間後には歩いて帰れる状態にすることを目標としています。

ときには、「なかなか麻酔から覚めないから来てほしい」と他の病院の先生に呼ばれて麻酔管理をしに行ったこともありますし、知り合いの先生向けに麻酔の講習会を開いたこともありますね。

他の病院で手術を断られても諦めないでほしい

ーーー「マルクペットクリニック」ではどのような手術が多いですか?

腫瘍や胆嚢(たんのう)の手術が多いです。
脳外科と心臓外科は扱っていないですが、それ以外の手術はできる範囲でうちでやります。

「高齢だからもう無理」「短頭種だから麻酔は難しい」と他院で言われた子を手術することも多いので、手術をする子のほとんどが10歳を超えている高齢な子や短頭種です。

獣医師の説明の仕方によっては、「その先生・病院では治せない病気」を「そもそも治らない病気」と飼い主さんが誤解してしまい、うちに受診しに来た時にはすでに手遅れになっていることも多々あります。

かかりつけ医だけを頼るのではなく、場合によっては他の病院も受診したり、複数の病院にかかることは選択肢の一つとして常に持っていて欲しいですね。

ーーー 「マルクペットクリニック」の独自の取り組みなどはありますか?

病院のホームページにLINEを公開していることですね
LINEで予診を済ませてから診察に来てもらうこともありますし、状況によってはLINEのやりとりだけで問題が解決することもあります。

とりあえず相談していただければ、何とか治療法を考えますので、困ったことがあれば気軽に何でも相談して欲しいです。

目の前の患者さんを大切にしたい

ーーー 獣医師として大切にしているポリシーはありますか?

私たち街の獣医師ができることは、専門医の先生が導き出してくれた新しい治療法を日々の診療にしっかり活かすことだと考えています。
病院に来てくれる目の前の患者さんに対して、どれだけ多くのことをしてあげられるかが大切だと思っていますし、患者さんを第一に考えてあげられる存在でありたいですね。

飼い主さんには治療の選択肢をより多く提示できるように、日々勉強に励んでいます。大した病気ではなくても、10個くらい選択肢を提供したこともあります(笑)

ーーー 動物や飼い主さんに対して他に何か心がけていることはありますか?

患者さんには病院が「嫌なところ」だと思って欲しくないんです。
なので、病院に来てくれた子にはおやつをあげて、病院を好きになってもらえるような工夫をしています。
散歩中に病院の前を通ると、おやつ欲しさに病院の前でずっと座って待っている子も中にはいましたね(笑)

飼い主さんに対しては、必ず事前に金額をお伝えするようにしています。
手術の場合は見積もりをお渡ししますし、通院や入院の時も、治るまでにかかるだいたいの日数や金額を提示しています。

お金をいただいている以上、100%の結果を出さなきゃいけないと常に思っていますし、それが私たち獣医師の仕事だと感じています。

ーーー これから来院される患者さんに一言お願いします。

繰り返しになりますが、他の病院で一度治療を断られたとしても諦めないでください。
手遅れになる前に、ぜひ一度ご相談くださいね。

特に麻酔外科に関しては、他の病院よりもよいアプローチができる可能性があります。
高齢な動物でもお気軽にご連絡ください。

柳和良先生も登録している「アニぴたる」って?

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