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【獣医師取材】気軽に来れる眼科専門病院を目指して | 田上久美先生

一般診療の経験を活かし、眼科疾患以外の病気をもっている動物にもよりよい治療を

田上 久美Grand Cru Animal Eye Clinic 院長

<経歴>
 1998年 日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業
      在学中にワシントン州立大学で海外研修(2週間) 
 1998年4月〜1999年3月 日本大学動物病院 研修医。研修中より眼科診療を学ぶ
 1999年4月〜2000年3月 ベルベット動物病院に勤務(1年間)
 2000年4月〜2002年3月 トライアングル動物病院に勤務
 2002年4月〜 1〜1.5次診療動物病院に勤務 眼科診療を担当
        東京、茨城、千葉の病院での出張眼科診療を15年以上実施
 2019年4月〜2020年12月 トライアングル動物眼科診療室(東京都)に勤務
 2021年8月8日 グランクリュアニマルアイクリニック開院
             

東京都港区麻布十番で「Grand Cru Animal Eye Clinic」を開業された眼科専門医の田上 久美先生。一般診療も経験し、眼科疾患以外の既往歴のある動物の治療も受け入れている田上先生が目指す獣医療についてお話を伺いました。

動物園の獣医師への興味から進路を選択

ーーー はじめに、田上先生が獣医師を目指したきっかけを教えてください。

小学1年生の頃から獣医さんになりたいと思い始めました。もともと動物が好きで図鑑をよく見ており、上野動物園のパンダを見たことがきっかけで、獣医さんになりたいと考えるようになりました。

しかし、大学で獣医学を学ぶ中で、大好きな動物の治療・診察に携わりたいという気持ちが強くなり、動物病院で働くことを決めました

ーーー 大学へ進学後はどのような研究に取り組まれていましたか?

大学では、犬の目のヘルペスウイルスの検出をテーマに研究を行っていました。卒業後は、動物病院で働くつもりだったので、在学中は実験が好きだったこともあり研究に力を入れていました。

研究だけでなく、実験の合間を縫って大学病院の見学にも行っていましたね。

複数の病院で診療を経験

ーーー 大学卒業後は複数の病院で勤務されていますが、どのような経緯があったのですか?

最初は、学生の頃に見学に行っていた日本大学の大学病院で研修医として1年間勤務していました。翌年は大学病院に非常勤講師として勤務していた鈴木院長の誘いでベルベット動物病院に1年間お世話になりました。

その後、1.5次診療としてトライアングル動物病院で一般診療を経験しました。その後、他の病院で一般診療の他に眼科診察を行っていましたね。

次第に眼科診療が増え、東京や茨城、千葉の動物病院で眼科の出張診療を行うようになったんです。

ーーー 複数の病院でのご経験があるようですが、大変なことはありませんでしたか?

スタッフの方々と信頼関係を築くのが大変でした。病院が変わると、始めのうちは診察が少なかったのですが、信頼を得られるようになるにつれて患者さんを紹介してくれるようになりました。

ーーー 獣医師としてこれまでで一番嬉しかった瞬間・印象に残っている症例を教えてください

獣医師として治療を行うなかで、治療に応じて症状が回復してくれることがなにより嬉しいです。特に印象的なのは、大学病院で1年目の時に最初に担当した子です。40日くらい生死をさまよっていたのですが、いろいろな先輩や先生にアドバイスをもらいながら治療を行い、無事に回復させることが出来ました。元気に退院する姿は今でも時折思い出すほど嬉しかったですね

他にも、病気により寝たきりになってしまう、顔面神経の麻痺で目がつむることが出来ない、などといったことから眼の表面が傷んでしまう子が多くいました。そういった子たちに治療をすることで、どんどん良くなってくれるとやりがいを感じます。

気軽に来れる眼科専門病院を目指して

ーーー Grand Cruとはどういう意味なのでしょうか?

フランス語で「最高級の」という意味です。飼い主さんやペットにとって最良のことをしてあげたいと思いを込めて決めました。

ーーー Grand Cru Animal Eye Clinicの独自の取り組みを教えてください

気軽に来てもらえる動物病院を目指し、診察だけでなくプロのカメラマンを呼んでの撮影会や、お茶を飲み来てくださいねといった声かけを行っています。撮影会の収益の一部は、撮影会の運営者より寄付にまわしています。

ーーー 今後の眼科診療はどのように進歩していくと思いますか?

今後動物の眼科はどんどん進歩するでしょう。人の眼科の勉強もされている熱心な先生も増えてきています。

いずれは、人の眼科と同じように、緑内障ならこの先生、白内障ならこの先生とさらに細かく専門化が進んでいくのではないでしょうか

ーーー 先生が目指している”獣医師”とはどんなものでしょうか?

飼い主さんに一番説明がわかりやすい先生だと感じていただきたいです。病気の原因やどのような治療が向いているかを分かりやすく説明することで飼い主さんに納得してもらえることが大切だと考えています。

他の病院で治らなかった方に、自身の知識・技術で出来ることを説明し治療をすることが、専門医として腕の見せ所だと感じます。 

ーーー 診察の際に工夫されていることはありますか?

診療室を広くし、飼い主さんに診察の様子を見てもらえるようにしています。診察を見てもらいながら説明をすることでしっかりと納得してもらえることを目指しています。

問診では、いつもの病院での様子やおうちでの様子を聞いたり、好きなおやつを準備したりと病院にくる子達が嫌がらないように、そして動物の気持ちを理解できるように心掛けています。
治療期間の目安や通院間隔などもきちんと伝え、飼い主さんに安心してもらえるようなコミュニケーションをしっかりととることも意識していますよ。

ーーー 今後の獣医療の発展にどのように寄与していきたいと考えていますか?

他の眼科専門病院だと紹介が必須だったり、混んでいたり、予約が1ヶ月後になってしまうこともあります。しかし、その間にも病気は進行してしまうので、飼い主さんの予定になるべく合わせて来院できる病院でありたいです

高齢な症例や手術ができない症例であっても何か1つでもできることをやってあげたいと考えていますね。

ーーー これから来院を考えている飼い主さんに一言お願いします

眼科専門病院ですが、診察代がすごく高い、待ち時間がとても長いということはありません。敷居の高さを感じずにぜひ気軽に来てもらいたいです。目薬が苦手、手術はしたくない、持病があるなどの相談合併症の診察等もいつでもお待ちしております。

田上久美先生も登録している「アニぴたる」って?

アニぴたるは、専門性の高い獣医師が多数登録されているオンライン相談サービスです。ペットについての困りごとを相談すれば、信頼できる獣医師から的確な回答を貰えます。また、獣医師検索の機能も提供しており、困りごとにあった獣医師を見つけて連絡をとったり来院したり出来ます。