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【獣医師取材】愛情を注ぐ診療を忘れずに | 白石充代先生

動物たちの代弁者として飼い主とコミュニケーションを取りたい

白石 充代白石動物病院 院長

<経歴>
  1998年 日本大学 農獣医学部獣医学科 (現・生物資源科学部) 卒業
  1998年〜2001年 広島の動物病院で代診
  2001年〜2002年 姫路キロン動物病院 眼科専門 院長
  2002年〜2009年 みちる動物病院 院長
  2009年〜2021年 小暮動物病院(文京区)などの動物病院で休診日対応獣医師として勤務
  2021年 白石動物病院 開院
  JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト
               

これまで2カ所の動物病院で院長を務め、文京区に新しく「白石動物病院」を開院した白石充代獣医師。「まちの獣医さん」をキャッチコピーとしている白石先生に、動物への想いや飼い主との向き合い方についてお聞きしました。

「あなたなら獣医師になれる」の言葉がきっかけ

ーーー 白石先生が獣医師を志したきっかけを教えてください。

父が骨董品店を経営していて、小学生の頃に刀好きの獣医師の先生がお客さんとしてよくいらしていたんです。
父はその先生に私の進路相談もしていたようで、成績表とかも全部見せていたそうなんですよ(笑)。

私の成績や努力家なところを認めてくださったその先生から、ある日「あなたなら獣医師になれるよ!」と言われたんです。漫画のような話ですけど、それがきっかけですね。

ーーー 小動物の臨床に進もうと決めたのは大学に入ってからですか?

いえ、私は初めから小動物の臨床をやるつもりで大学に入ったんです。
当時の大学での獣医療の勉強は大動物がメインだったんですが、「小動物の臨床に進む」という目標は揺るぎなかったですね。

というのも、父がよく「将来はここで動物病院を開いてね」と夢を語っていたんです。
阪神・淡路大震災の被災者だった父が、半壊した家を「お前が将来ここで動物病院を開けるように」と一生懸命に建て直す姿を見ていて「やらなくちゃ!」という想いもありました。

閉院した病院の患者さんを引き続き診られるように自身で開業

ーーー 大学卒業後はどのように実績を積まれたのですか?

卒業後の3年間は広島の動物病院で代診という形で勤めていました。
その後、大学の研究室の先生の紹介で、院長が体調を崩して引き継ぎを探しているという「姫路キロン動物病院」に勤めることになったんです。

ここは眼科専門の動物病院で、全国から眼科の症例が集まるようなところでした。
キロンから独立された先輩方にも月に1度来ていただいて、実際に症例を見ながら自分も眼科の勉強をしていました。

ーーー その後、ご自身で兵庫に「みちる動物病院」を開院されたんですね。

はい。姫路キロン動物病院が区画整理のため閉院することになってしまったんです。

私はキロンに1年しかいられませんでしたが、眼科専門だったということもあって「継続で診て欲しい」という患者さんもいらっしゃったんですよ。
なので、「姫路や神戸など近隣の患者さんも引き続き通っていただけるように」と、兵庫の実家で「みちる動物病院」を開院することにしました。

結婚を機に東京へ行くことになったので7年で獣医師の妹に引き継ぎましたが、妹も結婚を機に「みちる動物病院」は閉院することに。今は無影灯がついたまま父がまた骨董品店をやっています(笑)。

ーーー 東京へ来てから「白石動物病院」を開院されるまでの経緯は?

東京に来てからは文京区にある「小暮動物病院」をはじめとした、都内や埼玉県の動物病院に勤務していました。
結婚する時に「将来は家で開業させてね」という約束だったので、早いうちから夫が場所を準備してくれていたんですけどね。夫も区議会議員という仕事柄、この場所を地域の会議室として開放していたんです。

環境は整っているのに12年も別の動物病院に勤務していたので、周囲の人からはよく「いつ開業するの?」なんて言われていました。

ペットたちの気持ちを飼い主に伝えられることが嬉しい

ーーー 白石先生が獣医師として最もやりがいを感じられる瞬間は?

私は、獣医師は「動物の気持ちを代弁できる唯一の仕事」だと思っているんです。
「ペットが何を考えているのかわからない」という悩みを持って来院される飼い主さんも結構多いんですよ。
なので、治療ではなくても「この子はこういうことを望んでいるんじゃない?」など、ペットへの接し方や環境改善についてのアドバイスをして、その問題が解決された時に動物の顔が晴れやかになるのを感じられると嬉しいです。

飼い主さんから「この子の顔つきが良い方向に変わってきた」と言われると「よしっ!」と思いますね。

ーーー ペットの気持ちと飼い主のしたいことが相反する時には、どのような対応をされていますか?

動物ってみんな本当に優しくて「飼い主さんに迷惑をかけることをしたくない」と思っている子たちなんですよね。
それ故に「飼い主さんが辛いと思うこと」がペットにとって辛いことなのではないかな……と私は思っているんです。

なので、ペットの気持ちと飼い主さんのしたいことが違ったとしても「きっとこの子はあなたの意見を尊重してくれているし、あなたが苦しい思いをする必要はないよ」と飼い主さんをフォローします。
その上で、飼い主さんが選択できる範囲内での「ペットにとって最善の治療」を提案するようにしていますね。

獣医療だけでなくマナーなども飼い主と一緒に考えていきたい

ーーー 先生は獣医師として、今後どのようなことに寄与していきたいとお考えですか?

今後は獣医療だけに留まるのではなく、飼い主さんと一緒にマナーや災害時でのペットとの過ごし方についても考えていきたいですね。

世の中にはペットを飼ったことのない人もいますから、避難所にペットを連れてきた時に周囲の人々に嫌な想いをさせない工夫や配慮も必要だと思うんです。
そうした配慮や環境が整うことで、ペットを飼ったことのない人の理解も深まって「私も動物を飼ってみたいな」とか「この子たちがいたから私も避難所でも楽しく過ごせたわ」と思ってもらえるのが理想ですね。

子犬・子猫が周りの動物や人とのコミュニケーション方法を学ぶのに重要な「社会化期」に親元から離さないシステム作りだったり、犬のしつけ教室だったり、結果として災害時にもペットや人を守れるような環境作りをしていきたいです。

ーーー 先生が徹底しているポリシーのようなものはありますか?

ペットは飼い主さんにとって「我が子同然の愛する存在だ」ということを忘れずに、こちらも愛情を持った接し方や診療を行うように心がけています。

ペットは繊細で、飼い主との「想い」の違いから体調を崩してしまうこともあります。
なので、ペットの体調が悪くて来院された時には、検査やお薬だけで終わらせるのではなくて、飼い主さんとのコミュニケーションを通してその内側にあるかもしれない潜在的な原因を探ることを大切にしています

ーーー これから来院される患者さんに一言お願いします。

病気の予防のためにはペットの生活習慣などが深く関わってくることも多いです。
なので、診察の際にはご家庭内のことなど、どんなに些細なことでもいいのでお話していただきたいです。
生活習慣や食事のことなど、なんでも気軽に相談してくださいね。

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