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【獣医師取材】適切なオーダーメイドの治療を届けたい|中井千恵先生

「できる限りの治療法で、可能性を広げていく」

中井 知恵陽だまり動物病院 院長

<経歴>
  1995年3月 東京農工大農学部獣医学科 卒業
  1995年~1998年 千葉県の動物病院に勤務
  1998年~1999年 東京都日野市の動物病院に勤務
  2000年~2005年 東京都稲城市の動物病院に勤務
​  2005年 稲城市の動物病院を陽だまり動物病院に名称変更し開院
   
             

東京都稲城市で、陽だまり動物病院の院長を務める中井千恵獣医師。個々にあったオーダーメイドの治療を最優先する中井先生が、動物への向き合い方や病院での取り組みについてお話ししてくださいました。

小学生時代の思い出と獣医師との出会い

ーーー中井先生が獣医師を志したきっかけってなんですか?

小学校6年生の時に小学校で飼育委員長をしていたのですが、飼育していたウサギが子ウサギを産んだんです。しかし、なんと翌朝には親ウサギは亡くなってしまい、生まれたばかりの子ウサギ5匹を私と副委員長の子と手分けをして世話をすることになりました。当然、小学生の私にはどうしてよいかわからなかったんです。
母親に相談し、母親の紹介で動物病院に話を聞きに行ったとき、初めて獣医師という職業と出会いました!

獣医師のアドバイス通りに飼育しましたが、当時の私にはウサギの飼育は非常に難しく最後に残った1匹も1年後に癌になり亡くなってしまいました。

とても後悔しました、その時に思ったんです。
自分に知識がなかったから助けてあげられなかった、それなら勉強をしようと。

それが、獣医師を目指した大きなきっかけです。

ーーーなるほど、小学生の時の辛い経験が影響しているのですね。その後、獣医の道に進んでいったのですか?

中学1年生の時、進路相談で獣医師なりたいと先生に話しました。その時に、獣医師になるためには獣医学部のある大学に進学する必要があるとわかって…。獣医学部に進学するのは、当時の私の学力からするとかなり努力をしなければなりませんでした。

でも、私は獣医師になるという夢を諦めることはできず、まずは高校を決め、中学1年生にして獣医師になるための目標に向けて動き出しました。その時から、獣医師以外の職業を考えてませんでしたね。勉強は好きだったので、勉強も楽しかったですよ。

大学に入ってからは、最終的に実際に動物を診療することのできる、臨床を志したいと思いました。

初めて出会った獣医師のように、私も臨床の現場で自分の力を発揮したかったのです。

大学では夢の臨床に向けて薬理学を学ぶ

ーーー夢の実現に向けて大学の研究室や実習も臨床を選択していたんですか?

大学を卒業したら臨床に行きたいと考えていたのですが、大学にいるときは基礎的なことを学ぶため、まずは薬理学研究室を選択しました。

ーーー薬理学を学ぶ中で、「臨床」という進路について悩むことはなかったんですか?

実は、動物向けの製薬会社からも求人オファーをもらったりはしていんたんですよね(笑)。

でも、「臨床」という進路以外は考えられなかったので、最初の勤務先として千葉県にある動物病院を選びました。千葉県の病院は獣医師が8人在籍し、来院数も非常に多く、かなり忙しい毎日を送っていました。

大半の時間を動物病院で過ごす日々が続きましたが、臨床経験をたっぷり積むには相応しい場所でした。

西洋医学だけなく東洋医学を取り入れた両視点からの治療

ーーー中井先生は東洋医学にも力を入れているそうですね。きっかけはなんですか?

千葉県の病院で勤務をしていたとき、近代的な西洋医学からのアプローチだけでは治療が難しい動物たちに出会いました。そういった動物等を治療する中で、東洋医学を取り入れながら治療をすることはできないのかと考えました。

東洋医学、特に鍼治療を始めたのは、私自身が高校時代に怪我をして鍼治療の効果を実感し、犬や猫の治療にも効果があるのではないかと思ったからです。

ーーー東洋医学には鍼灸意外にも漢方薬もありますよね、漢方薬の処方も行っているのですか?

東洋医学を勉強する中で、漢方薬のことも学びました。漢方薬は味が独特ですが、思っていたよりもペットは受け入れてくれ効果も感じましたね。

西洋医学とは違う観点でアプローチするという意味で処方をしています。漢方薬はペットそれぞれの体質に合わせて選ぶことができるので、その子にとって何が適しているのか見極めて西洋医学・東洋医学の両視点から処方することを大切にしています。

飼い主さんとペットが「一緒に過ごす意味」を大切に考える

ーーー獣医師としてこれまでで一番嬉しかった瞬間はどんな時ですか?

嬉しい瞬間はたくさんありますよ(笑)。

印象に残っているエピソードは、末期の肝臓癌の犬が来院したときです。

大学病院でも助かる見込みはなく手立てが無い状態だったのですが、漢方薬を処方し治療を継続していたら、血液検査の結果とは相反して余生を穏やかに過ごすことができました。治療の結果が功を奏して飼い主さんと最期を過ごすことができたのは、私も本当に嬉しかったです。

ーーー今後の獣医療の発展に何を寄与していきたいですか?

皮膚科や循環器科など、人の医療のように専門科に細分される傾向があります。それは良いことだと思うのですが、総合的に診断をつけて最適な医療を受けられるような道筋をつけてあげられる獣医師は最終的に必要だと思っています。

患者さんによっては症状によって病院を使い分けている人もいますが、ホームドクターは全部診ることができ、家族環境や悩みも聞くこともできます。ペットが一生涯幸せに暮らせるように、幼少期から老いていくまでずっと見ていきたいですし、家族の悩みも聞いてペットを取り巻く環境にも寄り添いたいですね。

大切な家族のための信頼できる相談相手として

ーーー中井先生にとって“獣医師”とは?

ペットを飼っている人にとって、ペットは大切な家族です。その大切な家族のことを相談でき、不安を払拭できる獣医師でいたいと思っています。

ーーー 先生・スタッフなどに周知し徹底しているカルチャーなどはありますか?

スタッフとのコミュニケーションは常に大切にしています。隔週でミーティングを行ったり、「動物のことを、常に心配する気持ちでいる」という考えを共有することで、常に飼い主さんと同じ目線に立つことを心がけています。

ーーー「陽だまり動物病院」の名前の由来はなんですか?

誰が聞いても、暖かみを感じる名前したくて命名しました。
イメージとしては、動物たちが穏やかに森の中で眠っていたり、日向ぼっこをしている感じです。

ーーー病院を引き継いだ際に前の院長との考え方や来院してくる飼い主さんとのギャップはありませんでしたか?

私が開業を考えていたとき、稲城市の動物病院(現 陽だまり動物病院)で獣医師を募集しているのを見つけて問い合わせをしました。それから5年ほど院長として勤務し、その後に病院名を陽だまり動物病院に変えて引き継ぎました。

引き継ぎのタイミングで病院名は変わってしまいましたが、リニューアルという感じで患者さんはすんなり快く受け入れてくれましたね。

ペットに合ったオーダーメイド治療を最優先

ーーー他の動物病院ではあまり見ない独自の取り組みはありますか?

今後は、ネットショップを開いてサプリやフードの扱いも行う予定です。

その他の独自の取り組みとしては、飼い主さんとコミュニケーションにLINEを取り入れています。
コロナ禍になり、完全予約制にしたこともあり、LINEでも予約を取れるようにしました。

一人一人の飼い主様と繋がっているので、例えば入院したときも、入院中の様子を動画に撮ってLINEで送ったりしています。逆に、自宅での症状や状態を写真や動画で共有することもできるので、よりきめ細かい対応ができるようになりました。

ーーー お客様、動物と接する上で最も大切にしていることとは?

それぞれの飼い主さんや、ペットに合ったオーダーメイドの治療を最優先にしています。

また、治療するだけでなはく、その後病状が改善されたか否かを含め、治療の経過やその子の体調の変化を継続的に観察することを大切に治療しています。ペットの生活や性格、飼い主さんの想いや事情を汲み取り、選択肢とその想定結果を示すことを常に意識して飼い主さんとコミュニケーションをしています。

ーーーこれから来院される方にメッセージをどうぞ!

ペットの一生を診察していきたいと思っているので、ホームドクターとして早期発見につながるよう心がけています。
医療の窓口として場合によっては迅速に専門医へ繋げるよう丁寧な診療を目指していますので、お気軽に来院ください!

ご自身でネットから得た情報とともに相談いただいても、その正誤を含めて出来るだけ正確にアドバイス致しますよ!

中井千恵先生も登録している「アニぴたる」って?

アニぴたるは、専門性の高い獣医師が多数登録されているオンライン相談サービスです。ペットについての困りごとを相談すれば、信頼できる獣医師から的確な回答を貰えます。また、獣医師検索の機能も提供しており、困りごとにあった獣医師を見つけて連絡をとったり来院したり出来ます。