アニてぃくる

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【獣医師執筆】第2回:身体の中で何が?|教えて!ペットの再生医療

≪第2回:再生医療って身体の中でなにが起きてるの?≫

【登場人物?!のご紹介】は、≪第1回:そもそも再生医療ってどういうもの?≫をご参照ください。

皆さん、今月も、うぃっぴー&ちゅら、そして、とーさんと一緒に「ペットの再生医療」についての理解を深めてくださいね!

うぃっぴー「いゃいゃ…先月は大変な目にあったょ(汗)。もうすっかり良いけどね!」

ちゅら「でもうぃっぴー、怪我したところ、毛が生えてきてないじゃん?!」

うぃっぴー「まぁ指先だし、恰好よさには影響しないから良いけれど…確かに毛が生えてこないんだよね。毛は再生しないのかな?!」

ちゅら「とーさんに聞いてみれば?でも…きっとしないんだよ。だって毛が再生するなら、とーさんに薄毛の悩みとか、あり得なくない?!」

とーさん「…………」

うぃっぴーの患部脱毛画像
うぃっぴーの患部には、まだ毛が生えてきていません

皆さん、こんにちは。とーさんこと、ひらの動物病院の平野由夫です。年齢の割には薄毛問題は小さい…と信じています(泣)。

人間のからだも動物のからだも、構成する単位は全て同じです。そう、理科の授業でも習った「細胞」ですね。

皮膚も筋肉も骨も神経も血液も、全て細胞でつくられています。体重1kgあたりには約1兆個の細胞があるといわれていますから、体重4kgのちゅら(猫)は約4兆個の細胞、体重15kgのうぃっぴー(犬)は約15兆個の細胞でつくられていることになります。

からだを構成するそれらの細胞は全て、それぞれの箇所でそれぞれの役割を担っています。皮膚の細胞は怪我やバイ菌からからだを守り、血液の細胞は酸素を運搬し、神経の細胞は脳からでる信号でからだを動かしています。からだのなかの細胞がそれぞれの役割を果たしながら、生命を営んでいるのです。

役割り

細胞の役割はどのように決まっている?

もともと、私たちのからだは一個の受精卵でした。たったひとつの受精卵は、子宮の中でなんども「分裂」を繰り返し、細胞の数を増やしてからだをつくりあげていきます。その過程で細胞たちがそれぞれの役割を果たすための機能に特化していくことを「分化」といいます。

分化

成熟細胞と未分化な細胞

分化が完了した細胞たちを『成熟細胞』と呼びますが、その一方で、まだ役割りが決まっていない細胞たちは『未分化な細胞』と呼ばれます。この未分化な細胞たちは、これからの分化に備えた、とても元気で、若々しい細胞と言えます。

未分化細胞

未分化な細胞の可能性に注目

動物病院で実施されているペットの再生医療では、未分化な細胞たちが主役になります。犬には犬から、猫には猫から、あるいは犬でも猫でもその子自身から未分化な細胞を採取して、からだの外で分裂させて数を増やします。そして再び体内に戻すことで、多くの未分化な細胞たちの力をかりて弱ったり壊れたりした組織や臓器の回復や再生を促すのです!

どうです?! ≪第1回:そもそも再生医療ってどういうもの?≫ での大切なポイント『病気になった部分そのものを、元々あった正常な状態に戻す医療』とつながりましたか?!

次回は、≪第3回:し、しぼぅ…脂肪から再生医療?≫を、お送りします。楽しみ待っていてくださいね!
※ 執筆者の都合により、次記事の公開は2021年冬頃となります。

さて、とーさんの薄毛問題?ですが、ヒト医療では自家毛髪培養細胞の頭皮注射による毛髪再生医療などが大学や関連企業で盛んに研究されています。近い将来、薄毛の悩みはなくなるかもしれませんね!私も今のところは再生医療のお世話になる程ではありませんので、ちゅらにもその旨、説明済です(泣)。

うぃっぴーの傷跡の毛もじきに必ず生えてくるので、そちらもご心配には及びません。

それでは、また一か月後にお会いしましょう!

<校正・編集> アニてぃくる編集部・セシル