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【獣医師取材】飼い主がハッピーになれる動物医療を|後藤慎史先生

ペットを笑顔に、ヒトを笑顔に

後藤 慎史北川犬猫動物病院 院長

<経歴>
  2009年 酪農学園大学 獣医学部獣医学科 卒業
  2009年〜2014年 愛知県内の動物病院に5年間勤務
  2014年〜現在 北川犬猫病院にて皮膚科・耳科症例を担当
  2016年 ペットと入れるカフェ「hiff cafe tamagawa」及び併設の皮膚科動物病院「ヒフカフェ動物病院」を開院
  2019年〜現在 北川犬猫動物病院 院長
  コラム執筆、専門誌の翻訳、カウンセリングなども行う              

動物医療ではあまり多くない、皮膚科と耳を得意とする後藤慎史獣医師。
現在院長を務める「北川犬猫動物病院」だけではなく、皮膚科×カフェという異色の組み合わせで事業を営む後藤先生が、動物や飼い主に対する想いをお話してくださいました。

中学生の頃に言われた「獣医師になりなさい」がきっかけに


ーーー 後藤先生が獣医師を目指したきっかけを教えてください。

子どもの頃から動物が好きで、動物関連の仕事には就きたいと幼心にずっと思っていましたね。特に「これだ」というものはなかったんですが中学生になったある日、先生から「あなたは獣医師になりなさい」と言われたんです。「獣医師」という職業を知ったのと同時に「チャレンジしてみよう」という気持ちを持つようになりました。

私の周りでは獣医師を目指す人は「家で飼っていたペットが死んでしまって悔しく悲しい思いをした」というような過去がある場合が多いのですが、私の実家では動物は飼っていなかったので、周囲から見たら珍しいパターンだったかもしれません。

苦手意識のあった皮膚科が得意分野に


ーーー 北海道の大学を卒業して愛知県内の動物病院に勤務するまでには、どのような経緯があったのですか?

大学生の頃から就職活動でさまざまな地域の病院にインターンシップに行っていたんですが、その中でも愛知県の「なりた犬猫病院」は症例数が多かったので「ここで働いたら1年目からたくさんの経験が積めるだろうな」という印象を持ちました。そこに魅力を感じたので就職先として「なりた犬猫病院」を選択したんです。

東京の病院だと1年目は補佐要因として勤務することも多いと思うのですが、実際に「なりた犬猫病院」では獣医師として働くことになってすぐに診察にも参加していました。医療だけでなく飼い主とのコミュニケーションの取り方や「獣医師としてどういう意識を持つべきか」などは、「なりた犬猫病院」の院長先生を始めとした多くの先輩方から教えていただきましたね。

ーーー 先生の得意分野は皮膚科ですが、そこにフォーカスしていったきっかけはありますか?

実は元々は皮膚科の治療に苦手意識があったんですよ。しかし、獣医師になって3年目の頃に皮膚科の診察セミナーを受講してからは、自分で勉強をしていても「皮膚科っておもしろいな」と年々感じるようになっていったんです。

それと、皮膚科を専門的に学ぶことにしたのにはもうひとつ理由があります。当時勤めていた「なりた犬猫病院」は遠方からも「なりた」の得意ジャンルである外科の受診を目的に来院される方がとても多かったんです。それを見ていたこともあって「自分でいつか開業する時のためにも得意分野を持っていたい」という気持ちがありました。

得意分野が欲しいと思っていたタイミングで皮膚科に興味を持つようになったので「私の得意分野は皮膚科でいこう」と決めたんです。

「動物病院の事業継承」と「皮膚科×カフェの開業」

ーーー 先生が「hiff cafe tamagawa」を開業された経緯についてお聞かせください。

田園調布にあるhiff cafe tamagawa」は皮膚科と耳科をメインとした動物病院にカフェが併設された複合施設で、私・小林真也獣医師・久保聡獣医師の3人で立ち上げました。

私は愛知県内の動物病院で経験を積んだ後に東京都板橋区にある「北川犬猫動物病院」に勤務しながら東京農工大学で皮膚科診療の研修を受けていたときに一緒に研究していた仲なんですよ。当時からよく3人でお酒を飲みに行ったりカフェに行ったりして、とても相性が良かったように感じます。

ーーー 皮膚科×カフェという事業は珍しいですが、そのアイデアはどのようにひらめいたのですか?

皮膚科とカフェを掛け合わせる事業は日本国内では初の試みでしたね。

皮膚科って命に関わるような症例は少ないので、ペットが小さい頃から長年治療を続けてきたというケースが多いんです。なので、初診の場合だと今まで受けてきた診療内容などをお聞きしてから検査説明をして、さらに今後の方針を飼い主さんと話し合って……と、1時間半くらいかけて診察することがほとんどでした。

そうしていると待合室にはずらっと人が並んでいってしまうのですが、その状況を見て「待ち時間に飼い主さんが飲食できるカフェをやったらどうだ?」と思いついたんです。

構想を練っている段階の時は周囲の人からは「冗談でしょ?」なんて言われることも多かったですね。でも、小林や久保と私に賛同してくれる人もいて、おかげさまで無事に開業し今も地域のみなさんに愛していただいています。

ーーー 「北川犬猫動物病院」は事業継承という形で院長に就任されたのですね。

はい。前院長が高齢になられて引退を考えている時に、今後の事業についての相談を受けていたんです。「北川犬猫動物病院」は私が生まれるずっと前からある地域の老舗病院で、前院長が力を入れていた皮膚科と耳を目当てに遠方からも来院する飼い主さんが多かったこともあり、前院長も簡単に閉めてしまうわけにはいかなかったのだと思います。

私自身も「皮膚と耳の治療を求めて来院される方の役に立ちたい」と思っていましたし、最初に勤務していた「なりた犬猫病院」で地域の病院のノウハウはわかっていました。「北川犬猫動物病院」は地域の飼い主さんたちからも「北川さん」と呼ばれて愛される病院だったので、名前はそのままに私が事業を引き継ぐことにしたんです。

今は「hiff cafe tamagawa」とも連携を取り合って運営しています。

飼い主に“より多い選択肢”を与えられる獣医師でありたい

ーーー 先生が今後の獣医療で力を入れていきたいことはありますか?

皮膚科や耳を専門に診ている獣医師は少ないんです。なので、自分が学んで身につけてきたノウハウを共有しながら、皮膚科や耳を得意とする獣医師やトリマーさんを育てていきたいとは思っていますね。

毛の長いペットの場合、トリマーがグルーミング中に初めて病気を発見するケースも多いんですよ。毎日一緒にいる飼い主さえも気づけないような皮膚の異変に気づくことも珍しくはないので、トリマーとの連携は皮膚科にとって本当に重要だと思っています。

ーーー 後藤先生にとって“獣医師”とは?

“獣医師”と一言に言っても「動物が好き」とか「病気を治すことが好き」とか、さまざまなタイプがあると思います。私の場合は「困っている人の役に立ちたい」という思いが一番強いんですよ。だから、飼い主を置き去りにすることなく、大切な家族であるペットの治療を一緒に進めていきたいと思っています。

と言うのも、私は“良い獣医師”はより多くの選択肢を飼い主に与えられる獣医師のことだと思っているんです。なので、私自身も“良い獣医師”でいられるように、病気の診断を出して薬を処方するだけではなく「こういうアプローチもありますが、ペットちゃんに対してどの方法が適していると思いますか?」といくつかの選択肢の中から飼い主さん自身に選んでもらうようにしています。

ーーー これから来院される方にメッセージをお願いします。

当院では、“ペットを笑顔に、ヒトを笑顔に、日本を豊かに”を理念として掲げています。飼い主さんと連携して大切なペットの治療を進めていくことで、動物も飼い主もハッピーにできると信じているのです。ですから、病気を治すことだけを目標にするのではなくて「来院した時間を有意義なものにして、ペットや飼い主に感動していただけるようにしよう」と私もスタッフも心がけています。

また、犬に多い外耳炎は悪化すると早い段階で耳の切除を提案する獣医師も多くいますが、当院ではなるべく内科的にも治療できるように力を入れています。重症な症例でも手術に至ることは非常に少ないのが当院の特徴でもあるんです。

ペットの耳の治療に行き詰まってお困りの飼い主さんは、ぜひ一度「北川犬猫動物病院」や「hiff cafe tamagawa」にいらしてくださいね。

後藤慎史先生も登録している「アニぴたる」って?

アニぴたるは、専門性の高い獣医師が多数登録されているオンライン相談サービスです。ペットについての困りごとを相談すれば、信頼できる獣医師から的確な回答を貰えます。また、獣医師検索の機能も提供しており、困りごとにあった獣医師を見つけて連絡をとったり来院したり出来ます。