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【獣医師取材】整形外科専門医として手術実績約1500件!|藤井聖久先生

町の動物病院と、整形外科のスペシャリストの二刀流で、最良の医療を

藤井聖久くすの木動物病院院長

<経歴>
1999年4月
 北里大学獣医畜産学部 獣医学科卒(獣医師免許取得)
1999年4月〜2006年3月
 みなとよこはま動物病院に7年間勤務(最終役職:副院長)
2002年4月〜2008年3月
 国立大学法人東京医科歯科大学大学院博士課程 博士(学術)号取得
2006年4月〜2008年1月
 みなみこいわペットクリニックで2年間勤務
2008年4月
 くすの木動物病院を開院し院長に就任
2014年4月~
 日本獣医生命科学大学にて外科学教室研究生として入学

 

世田谷区の中でも商店や飲食店が多く、治安が良いことでも知られる尾山台。東急大井町線・尾山台駅から徒歩約5分、環八通りの尾山台交差点角のビルの1階に、町の動物病院の「くすの木動物病院」があり、同ビル3階に整形外科・神経外科疾患の診察と治療に特化する「世田谷どうぶつ整形外科センター」があります。

院長を兼任する藤井聖久院長のお話は、「くすの木動物病院」のネーミングから始まります。

御神木にも使われるクスノキ。町のランドマークになる立派な病院になるようにと命名

ーーー 「くすの木動物病院」は先生が命名されたのですか?

クスノキは30メートルほどにもなる高い木で、硬くて香りがします。カンフル剤や虫除けなどに使われる“樟脳(しょうのう)”は皆さんご存知だと思いますが、古くから「虫除けの木」として知られるクスノキの葉や枝から抽出したものが原料です。

クスノキは、成長はゆっくりだけど大きくなる木で、進歩は遅くても、堅実に成長していく学問のことを「楠(くすのき)学問」と言いますが、病院を堅実に大きくしたいという思いを込めて、くすの木動物病院と名付けました。

1階の院内にはクスノキがたくさん使われていて、待合室にある椅子もクスノキです。15年前に開業するときに、私の師匠にあたる先生からクスノキを譲り受けて、院内のインテリアを作りました。開業したばかりの頃は、しょうのうの匂いで大変でした(笑)。今でも木を削れば良い匂いがしますよ。

クスノキで出来ている椅子や受付カウンター、診察室のドア


最初の勤務先の病院に7年間勤めて、副院長も経験

ーーー 藤井先生はどうして獣医師になられたのですか。

子供の頃から動物が好きで、小学校の卒業文集には「獣医師になる」と書いていました。北里大学獣医畜産学部 獣医学科に入り、獣医解剖学を研究していましたが、外科に興味を持ったのは、最初の勤務先のみなとよこはま動物病院でのことです。

整形外科がメインの先生がいらっしゃって、「男は外科」「外科の花形は整形外科」という考えを受け継いで、整形外科に重きを置いて師事しました。

同病院に7年間勤めた後、大学院で博士(学術)号を取得する勉強をしながら、ペットクリニックで2年間働き、2008年4月にくすの木動物病院を開院しました。

整形外科症例の原因で多いのは落下事故。冬の犬猫で注意すべきことは……

ーーー 先生の整形外科手術の実績は素晴らしいですね。

整形外科はほとんどが手術で、骨折と膝の靱帯損傷の処置が多いですね。整形外科手術はこれまでに約1500件(※2020年7月で1213件)ほど手がけていて、現在も月30件ほど手術をしています。

このレントゲンの症例は、猫の前手の肘(ひじ)の骨折です。離れた骨にプレートを釘留めする手術を行い、手術時間は1時間半程度で、費用は約40万円。3ヵ月を目安に治っていきます。

ーーー 手術は3階にある「世田谷どうぶつ整形外科センター」で行うのですね。

はい、1階のくすの木動物病院は、一般診療が中心の、いわゆる町のかかりつけ医で、徒歩圏内の患者さんが多く、3階の世田谷どうぶつ整形外科センターは、整形外科疾患に特化した診察と治療を行っています。整形外科は、川崎、杉並や渋谷、練馬からも患者さんがいらっしゃいますね。手術をするのが3階というだけで、診察はすべて1階で行っています。

1階の診察室

ーーー その体制を整えた理由は?

私ができる唯一の“動物にとって最善な対応”である整形外科をより多くのペットたちに施せるような施設を作ることを決心して、3階に手術室を完備しました。

ーーー 整形外科のスペシャリストの先生から、冬に気をつけたいことを教えてください。

犬は、雪と遊んでケガをするワンちゃんが増えます。雪が降ると飼い主さんが楽しくなって、犬を連れて外に行くことが多いと思いますが気をつけてください。

整形とは別ですが、猫は冬になるとおしっこに行かなくて膀胱炎になったり、水を飲む量が減っておしっこが濃くなって結石になったりする泌尿器系の疾患に注意ですね。

また、犬も冬は太りやすく、太ると膝に負担がかかるので、体重のコントロールも気をつけてください。

3階の手術室

手術後に、動物が歩けるようになったときが一番うれしい

ーーー 3階の手術室は、都内でも屈指の設備を誇ると評判です。

仕事場を充実させるために、必要な設備にはしっかり投資をしています。手術室は外気が入り込みにくい環境を作るクリーンルーム仕様で、特殊なフィルターを通過させた清浄な空気を室内に供給し続ける陽圧換気によって清潔を保っています。

また、超音波メスとも呼ばれ、手術が速くできる最新鋭の治療機器「ハーモニックジェネレーターGEN11」も導入しています。

ーーー まさに、先生の仕事へのこだわりが具現化しています。手術室の横にモニター室もありますね。

当院は「飼い主参加型医療」を実践しています。犬や猫は飼い主さんと一緒に診察室でほとんどの処置を行います。採血中などに話しかけられることもしばしばありますが、後で説明するよりも見てもらっている方が処置を理解してもらいやすいし、動物を通じて“飼い主さんの気持ちも救いたい”という思いもあります。

手術中、モニター室で飼い主さんに見てもらうのも参加の一環ですね。私たちは見られたくないことはしないし、手術後の説明がすぐできるのも好評です。

手術室の真横にあるモニター室。手術の様子をオンタイムで見ることができる

ーーー 先生の一番のやりがいはなんですか?

整形外科の手術では、手術直後に、「これで大丈夫」だと実感するときがあって、術後1ヵ月ほどでレントゲンを撮って確認しますが、動物が歩けるようになったときが一番うれしいですね。飼い主さんから感謝していただくことも多くて、やりがいを感じます。

あと、通院して10年ほどの犬がいて、今は遠方に引っ越してしまいましたが、今でも年賀状を毎年送っていただいて、飼い主さんとの強固な信頼関係を結べたときもうれしいですね。

3階にはレントゲン室も完備

たとえば散歩の時に「足をかばっている」ようなら一度ご来院ください

ーーー 先生と動物病院の今後の目標を教えてください。

当院は、私と、10年目の麻酔の専門医と1年目の外科の先生の3人体制で、動物看護師が5人、受付が2人います。2024年にもう一人、女性の先生が入ってきますが、私は整形外科の専門医として後進の育成をやりたいですね。

ーーー それでは、くすの木動物病院に来る方にメッセージを。

たとえば散歩の時に「足をかばっている」様子で、飼い主さんが不安になったらぜひ当院にお越しください。

他院では診断できない、触診できない場合でも、当院では見て触ればどこが悪いのかわかります。セカンドオピニオンでもかまいません。整形外科で困ったら気軽にご相談ください。

藤井聖久先生も登録している「アニぴたる」って?

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