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【獣医師取材】病院選びに迷う飼い主様の道しるべに|大隅尊史先生

小さな病院で世界に通用する医療を

大隅尊史神宮プライズ動物病院 代表

<経歴>
2008年 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
2008年 東京大学付属動物医療センター 内科系研修医
2010年 ピジョン動物愛護病院 勤務医
2012年 東京農工大学附属動物病院皮膚科 単科研修医兼任
2014年 アジア獣医皮膚科専門医協会レジデント
2014年 出張型耳科・皮膚科専門診療サービス 動物皮膚科コンサルタント 開設
2017年 東京農工大学附属動物病院皮膚科 シニアレジデント
2017年 株式会社VDT耳科アドバイザー
2020年 株式会社動物の専門外来 代表取締役:VST新宿耳科皮膚科センター院長
2023年 神宮プライズ動物病院 開設
 

ペットライフにフォーカスしたペットと飼い主のための複合施設・神宮プライズ2階にある神宮プライズ動物病院の代表を務める大隅尊史先生。専門分野である皮膚科医療への取り組みや患者さんへの思いについてお話を伺いました。

悲しむ飼い主様を救いたいと獣医師の道へ

ーーー 大隅先生は、はじめから獣医師を志していたのですか。

実は最初は、人間医療の整形外科医を目指していました。私は野球をやっていたこともあり、ずっとスポーツドクターにかかっていて「自分の進路はこれだ」と思っていたんです。けれども徐々にこのまま地元に残っていいのか葛藤が生まれ、進学先をどうしようか迷っていました。

ーーー 最初は獣医師という選択肢はなかったのですね。それがなぜ、獣医学部へ進学することになったのですか。

進路について悩んでいた時に、うちで飼っていた猫が亡くなってしまったんです。その時にとても父が悲しんで落ち込んでしまって。その父の姿が印象的で「ペットのことで悲しむ飼い主様を救いたい」と思ったのが最初のきっかけです。

今でもその思いは変わりません。目の前の子を救いたいのはもちろんですが、私はその子を心配している飼い主様を救いたい、悲しむ飼い主様を減らしたいという気持ちが大きいですね。

動物たちの皮膚病が治らないことにショックを受けた

獣医師・大隅尊史インタビュー風景

ーーー 皮膚科に興味をもったきっかけを教えてください。

私の場合、獣医師という仕事がよくわからないまま獣医学部に入学して勉強をはじめてしまいました。それもあって大学2年の時に突然「どのような仕事なのか、ちゃんと見ておかなくては」という衝動に駆られたんです。

そこで直訴して、夏休みの約1ヶ月間、毎日のように都内の動物病院で研修させてもらいました。その動物病院では皮膚病の子が非常に多くて、しかもなかなか治らないんですよ。それを見ているうちに「動物の皮膚病をなんとか治してあげたい」と思いはじめました。

ーーー そこから一気に皮膚科にフォーカスしていったのでしょうか。

実はそれが、そうでもなくて(笑)最初の頃は授業に物足りなさがあって、勉強にもあまり面白みを感じていませんでした。当時の仲間に聞いてもらうとわかりますが、正直あまり真面目な生徒ではなかったんです。

それが4年生になって長谷川篤彦先生の指導を受けたことで大きく変わりました。自分との圧倒的な差を感じて、相当踏ん張って頑張らないと追いつけないぞと。それと同時に、この人についていけば自分が知らない世界を体感できると興奮していました。

ーーー 勉強に対する意識がガラリと変わったんですね。

研究室から帰らずに毎日実験をしたり、想定通りの結果にならないところを調べたりしていくと、どんどん成果が出るんです。それが面白くてこれまでの何倍も勉強しました。

皮膚科は、検査で原因や治療法が明確にわかるタイプの疾患ではありません。複合的な要因をパズルのピースを合わせるようにして判断します。

5年生位のころから、他の人が「わからない」と首をひねっている症例でも、私にはその組み合わせが見つかるようになってきました。みんなが治せないといっている子も、自分には原因や治療法がわかるし実際に良くなるんです。

私は公式的にものを考えるタイプで、ロジックで考えていけば自然に答えが決まってきます。そこが自分に合っていたんだと思います。

ーーー 皮膚科について学ぶことでご自身の強みを見つけたと。

研修医修了後は埼玉のピジョン動物愛護病院で勤務医として診察を始めましたが、最初は何もできないと感じてしまう場面も多かったんです。そんな自分が、皮膚病だけは他の人より早く確実に治療方法を見つけられるとわかりました。

自分の得意分野はこれだと感じましたし、自信もつきました。なにより、これで飼い主様が安心してくれる、喜んでくれると思えたのは大きかったですね。

ーーー 大隅先生は2012年には日本獣医皮膚科学会認定医を、2016年には獣医腫瘍科認定医II種を取得されています。今でも皮膚科以外の診療もやられていますよね。

皮膚疾患は腫瘍や外傷や体の内部との関連性も多いため、これまで一般診療を本気でやってきたことが生きているんです。皮膚科だけでなくさまざまな疾患を診てきたこと、また、東京大学の研修医時代やその後の大学生活で各分野の専門家と苦労をともにしたことが、私のアイデンティティであり強みになっていると思います。

私は皮膚科以外にも腫瘍と耳科が専門ですが、どちらも皮膚の疾患と繋がっていることが多くあります。

動物病院迷子の飼い主様の道しるべになりたい

神宮プライズ動物病院

ーーー 大隅先生のこれからの展望について教えてください。

常に質の高い最新の医療をしたいと考えています。けれどもスーパーマンでも天才でもないので、すべての科を最高レベルに保ち続けるのはとても無理です。

そこで今は、各分野の専門家になっている東大時代の同期たちとアドバイザー契約を結んでいます。自分でわからない分野は彼らのアドバイスをもらうことで、お互いに勉強になるし、それぞれの患者さんにいい医療が提供できるんです。

ーーー 飼い主は「この症状はどこの動物病院へ行けばいいのか」がわからないと悩むことが多いので、獣医師同志が連携してくれていると安心して受診できます。

私は動物病院探しで迷子になっている飼い主様の道しるべになりたいと思っているんです。私にできることは全力を尽くしますし、自分の知識と経験から最善の判断をして、それぞれの症例に合う信頼できる先生を紹介してあげたいと思います。つまり、私のところに来れば、どんな病状のタイプでも、飼い主様の状況に合わせて私が信頼するいい先生や病院を紹介してあげられると思っています。

最後の砦になる病院を目指して

ーー 神宮プライズ動物病院が他とは違うポイントを教えてください。

一般診察の他に、専門家チームと連携した皮膚科専門診療を行っているのが特徴です。他にはないような耳科の最新医療機器も導入し、皮膚病はもちろん高度な耳科診療にも対応しています。

ここは小さな病院ですが、チームネットワークを通じて特に皮膚科と耳科に関しては当院が最後の砦となれるよう責任を持って診療致します。また、専門診療に加え、一般診療に対応していることが特徴です。専門診療を頼りに来院されても、他の異常が見つかる場合もあります。そのような時、院長の森田先生を中心に一般診療で対応してもらえることが心強いです。

ーーー 院長の森田慶先生は東京動物耳科センター新宿VSTの副院長も務められていますよね。

はい、東京動物耳科センター新宿VSTは私が院長を務めている犬と猫の耳科専門の二次病院なんですが、森田先生は2020年から副院長として一緒に働いてきました。彼はいくつかの病院やサービスを掛け持ちして働いているので、動物医療に限らず様々な視点から神宮プライズ動物病院を今後ももっと良くしてくれると思います。

ーーー 複合施設に入っているのも珍しいですよね。

神宮プライズ動物病院があるのは、ペットの複合施設「神宮プライズ」の2階です。1階にはドッグカフェがあるので、検査をしている間にカフェでお待ちいただくこともできます。

3階のトリミングでは、私の監修でオゾンシャワーやウルトラファインバブル、炭酸水なども導入しました。トリミングで皮膚のトラブルが見つかれば私たち皮膚科がフォローできますし、連携しているので皮膚科に来た人も安心してトリミングが受けられます。

4階の会員制サロンでは、シニアドッグや介護が必要な犬のディケアがあります。5階は会員制のヘッドスパです。トリミングの間、飼い主様もゆっくり癒されていただけます。

ペットと飼い主様のためにプロが集まった複合施設ですので、安心して来ていただきたいですね。

ーーー これから来院される患者さんへメッセージをお願いします。

私は、患者さんの問題を解決して不安を取り除き、他の病院を探さなくてよくなるような「患者さんにとっての最後の砦」になりたいと考えています。

専門家チームとして「最短距離」「最良の方法」で確実にゴールに向かってゆく診療をしますので、皮膚病と耳の疾患でお困りの方は、ぜひ私たちに頼ってください!

インタビュアー:株式会社アニぴたる 代表取締役 隅蔵 亮

大隅 尊史先生も登録している「アニぴたる」って?

アニぴたるは、専門性の高い獣医師が多数登録されているオンライン相談サービスです。ペットについての困りごとを相談すれば、信頼できる獣医師から的確な回答を貰えます。また、獣医師検索の機能も提供しており、困りごとにあった獣医師を見つけて連絡をとったり来院したり出来ます。