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【獣医師取材】飼い主さんとペットの幸せコーディネート|鈴木淑剛先生

より多くの選択肢を提示する治療のためにお願いしたいこと

「夜中も目を光らせて見張っています。いつでも連絡下さい」

鈴木 淑剛ふくろう動物病院 院長

<経歴>
 学歴
  1982年 静岡県立静岡東高等学校卒業
  1988年 酪農学園大学大学院獣医学専攻修士課程修了・獣医学修士
 研修歴
  1988年 BELL動物病院
  1992年 ダクタリ動物病院焼津センター病院
 資格
  1988年 獣医師免許取得
  2005年 公益社団法人日本動物病院福祉協会 外科認定医
  2013年 外科認定 更新
 賞
  2012年 皮膚疾患クリニカルケースコンペティション2012
      (ロイヤルカナン社主催)アワード受賞
 役職
  一般社団法人 日本小動物獣医師会 理事
  一般社団法人 静岡市夜間救急動物病院 理事
             

静岡県静岡市でふくろう動物病院を経営する鈴木淑剛(よしたけ)獣医師。エキゾチックアニマルの治療を学ぼうと思ったきっかけや診察の中で意識されていること、先生から飼い主さんにお願いしたいことなどを伺いました。

「夜中も目を光らせて見張っています。いつでも連絡下さい」

ーーー 鈴木先生の獣医師としての経歴を教えてください

獣医師免許を取得してから24年間、富士宮の動物病院と静岡焼津動物医療センターに勤務していました。その後、2012年に自分の病院を開業。ふくろう動物病院の名前には「夜中も目を光らせて見張っています。いつでも連絡下さい」という意味を込めています。

リュウキュウキノボリトカゲの顔色を見て気づかされた

リュウキュウキノボリトカゲの顔色を見て気づかされたこと

ーーー クリニックでは小動物を扱っていますが、きっかけを教えて下さい

あるとき飼い主さんがリュウキュウキノボリトカゲを連れてきて「この子の顔色が悪いんです」と言われました。それまで爬虫類の顔色について考えたことがなかったもので、正直、困惑しました(苦笑)

人の顔色もそうですが、顔色というのは顔の色だけでなく眼の輝き、肌のハリツヤなども含めて顔色だと思っています。飼い主さんというのはそこまで見ているんだなと。そして飼い主さんの「この子を動物病院で診てほしい・治療をしてあげてほしい」という気持ちを獣医師がどう汲み取るか考えたとき、それなら飼い主さんと一緒にエキゾチックアニマルを勉強させて頂こうと思ったのがきっかけです。

「まず動物が困っているか困っていないか」

ーーー 診察の際、意識されていることはありますか?

僕がよく言うのは、動物が困っているか困っていないかを感じるということです。例えば先程言った顔色もそうですが、痛がっている様子があったとして、その痛みの種類をよく見た上でどんな異常があるのかを感じ取る必要がある。そして異常の原因を取り除くために何をしたら良いのかを考える。診察というのはそういう組み立てになっているはずです。

ただ、何かしら先に病名が思いつくとそこに持っていってしまいがちなんですよね。頭の中で浮かんでいる病名と症状をどう紐付けるかを考えるのではなく、ひとつひとつの事象を取り上げながら、どういう治療に向かっていくのかが大切。病名にたどり着くのは目的ではなく症状を改善して正常な生活に戻すのが目的なので、そういう治療が出来るようにすることは大事だと思います。

「飼い主さんの話に耳を傾け、それをどれだけ拾い上げられるか」

「飼い主さんの話に耳を傾け、それをどれだけ拾い上げられるか」

ーーー 診察の際、飼い主側から何かできることはあるんでしょうか

そうですね、獣医師がパッと見てわかるものより、飼い主さんが気づいている症状のほうが何十倍も重要です。僕らがペットを見てわかるのは、その瞬間に出ている症状だけ。飼い主さんは長い間ペットと一緒にいるので「ここ1週間でこんなことが2回ありました!」という”2回”が凄く重要な情報だったりするんです。飼い主さんの話に耳を傾け、それをどれだけ拾い上げられるか。そこを大切に治療に結びつけていきたいと考えています。

災害時の里親探しの仕組みで飼育崩壊のトイプードルたちを助けた

災害時の里親探しの仕組みで飼育崩壊のトイプードルたちを助けた

ーーー 鈴木先生は被災動物の救護活動にも尽力されていると伺いました

はい。2011年の東日本大震災では4回にわたって福島第一原発周辺、警戒区域の中の動物を保護しに行きました。2016年の熊本地震でも日本獣医師会の方から打診されて現地に入ったり、静岡の方でも被災動物の救護について県と一緒に考えたりしています。

また、2017年に静岡・富士宮での飼育崩壊で88頭のトイプードルが保護されました。県からの要請で「3週間後には飼い主の立ち退き命令が出ているから、災害時の動物の里親探しの仕組みを使って2週間で全頭の里親を探して欲しい」と言われて。最初は無理だと思いましたが関係各所の協力もあり、最終的には2週間ですべての子の里親を見つけることができました。

「ペットに代わって飼い主さんにお礼を言う」

「ペットに代わって飼い主さんにお礼を言う」

ーーー 病院のスタッフさんたちに、鈴木先生から伝えていらっしゃることはありますか?

「病院に来た飼い主さんに必ずお礼を言ってください」と言っています。それは「うちの病院に来てくれてありがとう」という意味ではなく、ペットに代わって飼い主さんにお礼を言うということです。

飼い主さんって、評価をされないことが多いですよね。「お忙しいとは思いますが1週間後にまた来てくださいね」などは当然だけど「良くなるまで通って頂いてありがとうございます」など、常に飼い主さんに感謝の言葉を投げかけて下さい、という話はしています。

「飼い主さんがハッピーじゃないと、飼われている動物もハッピーじゃない」

「飼い主さんがハッピーじゃないと、飼われている動物もハッピーじゃない」

ーーー 鈴木先生にとって”獣医師”とは?

飼い主さんと動物がハッピーでいることをコーディネートする存在、ですね。

病気を治すことでハッピーになる場合もあれば、苦痛を取り除くことでハッピーになる場合もある。また、治療をしないという選択をした飼い主さんの話を聞くことで、少しでも気を楽にしてあげられる場合もある。

やっぱり飼い主さんがハッピーじゃないと、飼われている動物もハッピーじゃないですよね。治療においては飼い主さんの意を汲むことが非常に重要だと思うし、もし「治療をしない」という選択をされた場合には、その中で獣医師として何ができるかをいつも考えています。

「ペットと一緒に生活することを常に楽しんで」

ーーー 鈴木先生から、飼い主さんに伝えたいことはありますか?

ペットと一緒に生活することを常に楽しんでほしいと思います。例えばもう本当に治らない病気だとかで先生から「あと3ヶ月くらいです」と言われたとします。そのとき、その期間をカウントダウンとして捉えないでほしい。カウントダウンをし始めると、どんどん心が悲しくなってしまいます。「1ヶ月頑張ってる、3ヶ月頑張ってる」といったようにカウントアップで考えると、限りある時間も楽しくいられるのではないでしょうか。

ーーー 最後に、これからふくろう動物病院に来院される飼い主さんにメッセージをお願いします

一つ言いたいのは、ペットの状態をよく知っている人に連れてきてほしいということです。診察では、家で実際に生活しているときの情報が凄く重要です。情報をたくさん持っている人が連れてくれば、僕らからも多くの選択肢を提示できます。また、そうした情報を獣医師にしっかりと伝えることもお願いしたいですね。